はたけの妖精
2016年5月, 畑の日当たりの良い畦というか土手にはじめてフデリンドウ1株を発見しました。
枯れ葉の中からちいさな花を見つけたときには、あまりの可憐さに 妖精降臨 かと❤️
最初、名前が分からず山野草図鑑からも見つけられませんでした。ご近所(と言っても100メートルほどあります)の山野草に詳しい村の長老の女性に見ていただいたら「ああ、フデリンドウ」と軽く即答。さほど珍しい花ではないとのこと。
もともと青系の花が好きなせいもありますが、とても気に入ってフデリンドウが咲いた場所は一年中踏まないように細心の注意をはらっていました。
フデリンドウ(筆竜胆)とは
いろいろなサイトの情報によれば:
- 学名は Gentiana zollingeri で 薬用植物
- 日本では全国的生息、標高1,800m まで広範囲
- 都内近郊でも環境のよい場所ではいまでも生育している模様だが徐々に減少、地域によっては急激に減少
- 横浜の地元では、たとえば新治市民の森には群生した場所もあるとか
GoogleScholar で調べていくつかの論文を見てみました。
- 西荻窪の 東京女子大 にもかつては多く咲いていたらしい (矢沢他, 1994)し、 東京家政大学 のキャンパス(越尾他, 1994)、当然かもしれませんが 信州大学 野辺山キャンパス(冨永他, 2007)にも
- いちばん胸を打たれたのは 専修大学北海道短大 (注1)の演習林内(石川他,1993)でも確認されていたということ。いまでも同じ場所で生息しているのかしら?思いはさまざまに巡ります。
毎年 春が楽しみでしたが
最初に見つけた場所に毎年フデリンドウが咲きました。 2018年には1㎡ほどの範囲に10株ほどに増殖、それ以降、去年(2020年)まで可憐な中にも華やかな競演を見せてくれていました。
しかし今年(2021年)は待てど暮せど姿が見えない。1株も1輪も出てきませんでした。
一体どうしたことか。フデリンドウが咲く場所には足を踏み入れないようにまた草刈り機での草刈りもしないように、夏から秋にかけて最新の注意を払っていたのに・・・。
毎日、1日に何回も腰をかがめて目をこらして探していましたがだめでした。家内ともども淋しい思いをしていました。
妖精 再び降臨!
ところが 5月6日の午後、今までとはちがう場所=同じ畑の土手の反対側、10数メートルほど離れた場所に2株を発見 ❗
一度は絶望していたので、みつけた時には嬉しさのあまりおもわず妻を呼びに帰りました。妻も「えーっ」と声を出しながらサンダルばきで小走りで出てきて確認して、ほんとうに嬉しそうにしていました。
それにつけても、フデリンドウがどうやってこの距離を移動したのか?不思議です。
ちいさな小さな花なのに見ているだけでにやにやしてきます。気持ちをほぐしてくれます。根が薬になると言いますが花も立派な 向精神薬 です。😃
おまけ(2021/05/19追記)
図3は2021年5月19日、小雨降る曇天の午後3時すぎのフデリンドウの写真です。日照が無いとこんな風に花を閉じています。この姿をみるとたしかに「筆」の穂先に見えますね。
Acknowledgement
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野島大志, 中井静子, 横山潤 (2011). 分子同定に基づくフデリンドウと菌根菌の対応関係の解析 山形大学理学部裏磐梯湖沼実験所報, 18, 42-42.
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矢沢静江, 小池保次, 高島文三 (1994). 東京女子大学キャンパスの植物 Science reports of Tokyo Woman’s Christian University 44(3), 1239-1272.
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越尾淑子, 原田真知子 (1994). 東京家政大学構内の野草について 東京家政大学研究紀要 第34集,(2),p.33~39.
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冨永達, 馬場多久男, 川越久史, 渡辺 直子 (2007). 信州大学農学部野辺山キャンパス植物目録 信州大学農学部紀要, 30-1, p.41-54.
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石川幸男, 原敏勝, 石飛北斗 (1993). 専修大学北海道短期大学演習林の高等植物目録 専修大学北海道短期大学紀要, 26, p.1-19.
Footnotes:
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1968年に北海道美唄市に設置されましたが2017年に廃止になりました。一度だけ訪問したことがあります。すばらしいヒトと自然に感銘を受けました。 ↩︎