7月の末、梅雨明けとともに
梅雨が開けて、遅れていたミニトマトの実がやっとと赤くなってきた、と思っていたら、 7月27日 頃から毎夜、 ハクビシン の襲撃を受けるようになりました。
当初は熟した実が少ないので、一晩に3,4個の食いカスがあるという状況でした。しかし 7月30日 からは、数え切れないほど食い散らかした跡が見られるようになりました。
じつは当初、うかつにもハクビシンが犯人とは思わず、タヌキだと思い込んでいました。そこで 7月30日 ミニトマトを栽培している場所を高さ1メートルほどの害獣ネットで囲みました。
獣害ネットの設置が終わってから、地元の方に現場を見て頂いたら、食い跡からしてハクビシンだろうとのご意見をいただきました。そう言えば、スズメバチトラップの監視用に設営していた監視カメラに、サクランボの幹を登り降りするハクビシンの姿が2夜連続で捉えられていました。
なんてことでしょう!このタイプの獣害ネットはハクビシンには全く無力!
ということことで、大急ぎでホームセンターに走り、とりあえずハクビシンの嫌いな匂いとされている 竹酢液 を購入してきました。夕方、日が落ちてから、スプレー噴霧器で 2倍 に薄めた竹酢液をマルチの縁と周辺土壌にしっかりかけておきました。明るいうちに、監視カメラをミニトマトの根元付近を撮影できる場所に移動しておきました。
害獣ネットは無力でも、竹酢液は効果が期待できます。なにしろネット上にあった農水省の野生鳥獣被害防止マニュアル (平成20年3月発行)にも、「2,3日しか効果は持続しない」という記述がありました。これは、つまり2,3日なら効果はあると解釈できるわけですよね。ということで、その夜は安心して寝床につきました。
ところが!
ウトウトちょっと寝入ったかな?という時間帯、時刻で言えば午前1時10分ころ、監視カメラから「動体検知あり」のアラートメール! えっ?何!とメールに添付された動画を見たら、なんとハクビシンのヤツ、下品にも口からクチャクチャと音を立てながらボクの有機無農薬ミニトマトを喰っているじゃあありませんか(動画はこちらから)。
がっくりです。怒りと失望のために目が冴えてきました。ハクビシンを撃退するための情報をネット上で探索したりしているうちに、ますます眠れなくなって、午前4時すぎまでもんもんとしていました。
そもそもハクビシンってやつは
上で紹介した農水省の防止マニュアルに次のような画像があります。まったくもって人相の悪いケダモノです(笑)
同マニュアルには、全国的な 農業被害 の調査結果も掲載されています。それによれば、「ハクビシンによる農作物被害については、イネ、マメ類、雑穀、果樹、飼料作物、野菜、いも類などの被害が報告されている。平成 18 年度の被害金額は 2億3千万円 」だそうです。実際にはハクビシンの被害額はこれよりもはるかに大きいことが同文書でも指摘されています。ボクのように犯人はタヌキじゃないかとか、アライグマじゃないかとかと誤認するケースが多いようです。
これだけの被害を出していても、昔から全国の村落で伝統的に使われていた捕獲用のワナは住民の自由意志では仕掛けることができません。たしかに平成19年(2018年)に『鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律』が一部改正になって、従来に比較すると少しだけヒト側にサポートのウエイトが移行しているように見えます。けれども、こんな風にのんびりと対策しているうちに、高齢化する日本の農山村から農家さんがいなくなってしまうと思います。
負けるものか!
話を元に戻します。 7月30日 の夜は 竹酢液 はまるで無視されたわけですが、2,3日は有効という記事をココロの支えに、翌 7月31日 は竹酢液を 原液 のまま散布することにしました。またノズルを整流ではなくて霧吹きにして、広く薄く散布しました。それから色づいたミニトマトは、夕方になったらできるだけ収穫してしまうことにしました。
さて 8月1日 の早朝、ベッドの中でどきどきしながらタブレットを開き、動体検知アラートメールが来ていないかどうかチェックしました。
「おぅ、来ていない!」
起床後、サンダル履きで畑に入り、ミニトマトの株元を見まわりました。ぜんぜんアタックの痕跡がありません。 原液 が効いたのか、それとも色づいた実を収穫したことが効いたのか分かりません。しかしいくらかこの 戦い の先行きに 光明 が見えてきました。
ハクビシン撃退方法
この動物を本格的に撃退するには、 電柵 が一番確実だと思います。しかしですよ、どんなに狭い範囲でも、電柵を設置するには最低数万円の設備投資が必要です。しかもハクビシンに対応するためには、電線の間隔を10センチから15センチと狭くする必要があります。シカやイノシシならば1メートルほどの支柱に、電線を2本張れば良いのですが、ハクビシンでは4本、つまりコストが2倍になるということ。
わずかな数の自家用ミニトマトの防御のために数万円の投資をするのはCPが悪すぎです。なので電柵は 最後の手段 とすることにして、できるだけコストをかけず、しかも人工的な化学物質を使わずに、わがミニトマトをハクビシンから守る方法を考えることにしました。
ところでボクは畑のある場所に定住しているわけではないので、この先、毎日夕方に忌避剤を噴霧することはできません。したがって、第1プライオリティの検討課題は、ハクビシンが嫌いな匂いを持続的に一定期間、出し続ける方法を考えることになります。
忌避剤デフューザの試作
ここでは、 8月1日 の夜に思いついて試作し、 8月2日 に実際に畑に設置した 忌避剤デフユーザ を紹介しておきます。
用意する部材など
部材としては、650ccの麦茶用ペットボトル(推奨 健康ミネラル麦茶 ;伊藤園)と古いタオルなどの布切れ、竹酢液または木酢液、そして結束バンドのみです。工具はカッターナイフと錐(きり)または千枚通し。
作り方
(1) 麦茶ペットボトルの一番上の溝(図2の黒い線)に沿ってカッターナイフでカットします。
カットする際には、カッターナイフは動かさず固定し、ペットボトルの方を回転させると怪我をしにくいです。またカッターナイフの刃をカット面上で寝かせると、溝に沿ってキレイに切れます。
(2) 図3のように、切り取った上部を逆さまにしてペットボトルに差し込みます。偶然ですが、この麦茶ペットボトルは上から逆さまにして入れ込むと、残された下半分の一番上の溝にカチリとはまって安定的に固定されます。他の麦茶ペットボトルがどうなっているのかは分かりませんが、 鶴塀すごい! と思いましたw
(3) 差し込まれた漏斗状のパーツと、下半分のパーツを固定するために適当な場所に錐で穴をあけます。その穴に 結束バンド (小)を通します(図4)。結束バンドはかっちりと締め付けるのではなくて、図のように結束バンドでループを作っておくことがポイントです。このループにヒモを結わえつけてぶら下げますので。
(4) 完成した忌避剤容器に忌避液=竹酢液を入れます。漏斗状になっているので液の注入作業は簡単です。それから、(実際には忌避液を入れる前に用意しておいた方がよいです)、古タオルなどを適当なサイズに切って、ロール状に巻いたものを忌避剤容器の上の穴から下に差し込みます。写真(図5)を見て下さい。
(5) さていよいよ現場に設置! トンネルの上部にある19m/mの単管パイプにヒモを結わえつけ、そこからヒモを垂らし、ヒモの先を忌避剤容器の 結束バンドループ に通して縛り、ぶら下げます(図6)。完全に固定するよりも、ゆらゆら揺れる方が効果が高いという説もあります。
<わき道> 上部のパイプにヒモを結わえつけるとき、そして結束バンドにヒモを結いつける際には、ロープワークでいう「 もやい結び 」または「 自在結び 」を使いましょう。作業性も良いし、緩んだり落ちたりしません。
これで完成です! 風がふくとゆらゆら揺れて良い感じですw
To be continued…
さて、この Y式忌避剤デフューザー のハクビシン撃退効果はどうでしょうか? 明日の朝が楽しみです。結果の報告は後ほど・・・。