つくったわけ
2021年の年末に 年賀状 の宛名データが壊れました1。その復旧作業をやっているときに、郵便番号と住所の どちらから でもお互いにコマンドラインで検索できる道具が欲しくなりました2。
そこで大急ぎで作ったのが postal-coder.sh
。とても単純 素朴ですが、とりあえずこれで過去3年間の年賀状をめくりながら、宛名ファイル(CSV)を作り直し3、なんとか宛名印刷を完了することができました4。
宛名印刷が終わった後、y
日本郵便の郵便番号データは月に1回のペースで更新されることを知りました。そこで毎月1回、定期的に郵便番号データをダウンロードし、
postal-coder.sh
に合った形式にデータを整形するスクリプト fabr-postalcode-DB.sh
を作りました。
その2本のスクリプトについて自分用の備忘も兼ねて概要を紹介します。
スクリプト
postal-coder.sh
- 住所から郵便番号、郵便番号から住所あるいは事業所名、事業所名から郵便番号と住所を検索して表示します(コードは こちら)。
fabr-postalcode-DB.sh
- 日本郵便のデータをダウロードし
postal-coder.sh
用にデータを整形します(おおざっぱなフローはこちら)。
postal-coder.shスクリプト
使用例
ターミナル上では郵便番号出力は赤字で表示されます。
住所 → 郵便番号
$ postal-coder.sh 緑区鴨居
2260003 神奈川県横浜市緑区鴨居
2260004 神奈川県横浜市緑区鴨居町
検索語にヒットする住所が複数あれば全部表示します。うっかり「東京都」と入力すると破滅的な数の行が表示されます(やってみたら 4046行 😲 )。データ中にヒットする住所が無ければ
** Not found.
を表示して停止します。
郵便番号 → 住所
$ postal-coder.sh 7290111
7290111 広島県福山市今津町
データに存在しない郵便番号の場合には ** Not found.
を表示して停止します。
事業所名 → 郵便番号・住所
$ postal-coder.sh 培風館
1028260 株式会社 培風館 東京都千代田区九段南4丁目3−12
支店・支社が複数あれば、それらも全部表示します。
郵便番号 → 事業者名
$ postal-coder.sh 2148580
2148580 学校法人 専修大学 神奈川県川崎市多摩区東三田2丁目1−1
応用問題(おまけ)
(Ex.1)虎ノ門ヒルズ35階の郵便番号を知りたい:
$ postal-coder.sh 虎ノ門ヒルズ | grep 35
1056435 東京都港区虎ノ門虎ノ門ヒルズビジネスタワー(35階)
1056335 東京都港区虎ノ門虎ノ門ヒルズ森タワー(35階)
虎ノ門ヒルズには「ビジネスタワー」と「森タワー」があったんですね 😅
日本郵便のDBでは数字はすべて 全角数字 が使われています。 grep
する際には、上のようにハナから全角文字で検索するか、次のように nkf -Z
のひと手間かけて半角化しましょう。
$ postal-coder.sh 虎ノ門ヒルズ | nkf -Z | grep 35
1056435 東京都港区虎ノ門虎ノ門ヒルズビジネスタワー(35階)
1056335 東京都港区虎ノ門虎ノ門ヒルズ森タワー(35階)
fabr-postalcode-DB.shスクリプト
毎月1回、cronで事業所名データ( jigyosyo.zip
)と全国郵便番号データ( ken_all.zip
)に更新があったかどうかをチェックします。
もし更新があったら、
zipファイルをダウンロードして解凍し、 postal-coder.sh
スクリプトで使えるように整形して保存します。全国郵便番号データ( ken_all.zip
)は 1.7MB 、事業所名データ( jigyosyo.zip
)は 0.7MB 程度なので、回線的にもそれほど大きな負担はないと思います。
2022年1月5日には事業所名データ( jigyosyo.zip
)にも 全国郵便番号データ( ken_all.zip
)にも更新がありませんでした。次のようなログが残っていました。
(log-JIGYOSHO.txt)
$ cat log-JIGYOSHO.txt
--2022-01-05 21:02:01-- https://www.post.japanpost.jp/zipcode/dl/jigyosyo/zip/j
igyosyo.zip
www.post.japanpost.jp (www.post.japanpost.jp) をDNSに問いあわせています... 43.25
3.212.144
www.post.japanpost.jp (www.post.japanpost.jp)|43.253.212.144|:443 に接続していま
す... 接続しました。
HTTP による接続要求を送信しました、応答を待っています... 304 Not Modified
ファイル `jigyosyo.zip' はサーバ側で変更されていませんでした。
ダウンロードを省略します。
アップデートがなければほとんど何もせずスクリプトは終わります(図1)。
(完)
参考資料( postal-coder.sh
コード)
緊急避難的なコードですがとりあえず 自家用 には動いています。小ぎれいにしたいところや変なところがたくさんありますが、それは後ほど改修ということであしからず・・・。
postal-coder.sh
#!/bin/bash
# Postal-coder.sh
# 郵便番号 => 住所
# 住所 => 郵便番号・住所
# 事業所名 => 郵便番号・住所
if [ $# = 0 ]; then
read -rp "住所/郵便番号/事業者名を入力してください: " keyin
else
keyin=$1
fi
# keyinに半角ハイフンが含まれていたら削除
keyin=${keyin/-/}
#
# 入力判定(郵便番号 or 住所/事業所名)
#
if [[ "${keyin}" =~ ^[0-9]+$ ]]; then # keyinが数字のみかどうか
# keyinの桁数をチェック 7桁限定
if [ ${#keyin} != 7 ]; then
echo "** 郵便番号の桁数は7です."
exit 0
fi
## 郵便番号から 住所/事業所名を得る
#
all_japan_file=$HOME/郵便番号/ALL-JAPAN.csv
#
zipcode="${keyin}"
adrs=$(grep ${zipcode} ${all_japan_file} )
adrs_only=$(echo ${adrs} |cut -c 8-)
#
if [ -n "${adrs}" ]; then
echo -e "\e[31m${zipcode}\e[m ${adrs_only}"
exit 0
else
echo '** 郵便番号 not found. Do it again.'
exit 0
fi
fi
#
## 住所/事業所名から 郵便番号
#
ippan_file=$HOME/郵便番号/essential-ippan.csv
jigyosho_file=$HOME/郵便番号/essential-jigyosho.csv
# 一般住所データから検索
grep "${keyin}" "${ippan_file}" > ./tmp-ippan-koho.txt
if [ -s ./tmp-ippan-koho.txt ]; then
#
while read line
do
zipcode=$(echo "${line}" | cut -b 1-7)
adrs_koho=$(echo "${line}" | cut -b 8-)
echo -e "\e[31m${zipcode}\e[m ${adrs_koho}"
done < ./tmp-ippan-koho.txt
rm ./tmp-ippan-koho.txt
exit 0
else
grep "${keyin}" "${jigyosho_file}" > ./tmp-jigyosho-koho.txt
# ####### 事業所にデータがある場合
if [ -s ./tmp-jigyosho-koho.txt ]; then
#
while read line
do
zipcode=$(echo "${line}" | cut -b 1-7)
adrs_koho=$(echo "${line}" | cut -b 8-)
echo -e "\e[31m${zipcode}\e[m ${adrs_koho}"
done < ./tmp-jigyosho-koho.txt
rm ./tmp-*.txt
exit 0
fi
# 作業ファイル削除
rm ./tmp-*.txt
fi
#
# 入力 みつからず
#
echo '** 入力データ not found. Do it again.'
exit 0
fabr-postalcode-DB.shのフローチャート
Footnotes:
-
バックアップはとってありましたが、CSVフォーマットで2019年のものしか残っていませんでした。 ↩︎
-
市販の住所録・宛名印刷ソフトでは備わっているのが当たり前のありきたりな機能です。けど重たいアプリを起動したり、ウエッブページを開いて検索したりするのは(若者言葉では)「だるい」ものですから・・・。 ↩︎
-
宛名データがとりあえず復旧した後に、そのデータについて郵便番号と住所が一致しているかどうかをチェックする作業を行いました。スクリプトにするほどでもなく、ワンライナーですが、注意深く入力したつもりでも多くのタイプミスがあることを改めて思い知らされました。 ↩︎
-
残っていたCSVファイルをEmacsのCSVモードで読み込み、それに追記・修正を加えるという形で行いました。復旧したデータも当然CSVです。なお宛名の印刷途中で自宅のインクジェット プリンタ=Canon iP7230 (2012年製)が
B200
エラーを吐いて止まるというシリアスなトラブルが発生。これも何とか迂回して、やっとこさで印刷が終わりました。今年の年賀状発送はほんとうに大変でした 😓 ↩︎