手作りポット苗トレーラック for フォレスター

ボクが趣味で土いぢり・畑作業をしているのは群馬の標高1,000メートルの村です。村では、5月20日以前に苗を畑に定植するのはとても危険とされています。もちろんへいちゃらな年もあるにはありますが、遅霜がくると畑の作物たちは(種類によりますが)一夜にして絶滅します。

そこで地元の農家の方たちは、5月末の苗定植に向けて、ゴールデン・ウィークの前後から温室や納屋で苗のケアをしながら育苗の作業をされています。しかし、ボクらのように群馬と横浜の二重生活をしている場合には、現地で苗の面倒を見ることはできません。群馬に常駐する誰かが散水とか温度管理とかをしてくれれば良いでしょうが、それは無理な相談。

今までどうしていたかというと、主要な作物はゴールデン・ウィーク明けから、まずは横浜でポットに種まきして育苗を始め、ポット内で苗がほどよく成長してきたら、それを群馬に運び、畑に定植します。とくに花豆についてはかれこれ「ん十年」もこの方式でやってきました。

花豆は、タイミングさえちゃんとしていれば、種を畑に直植えしても育ちますが、ここ二十年ほどは、花豆が双葉になった頃を見計らって、山から鹿が降りてきて、畑を襲って新芽のほとんどを食ってしまいます。そうすると花豆の赤ちゃんは単なる「棒っこ」の状態になって全員お陀仏です。だから、本葉プラス少し弦(つる)が出るまで育苗しておいて、畑に定植していたわけです。

けれども、最近だんだん横浜で育苗する作物が増えてきています。今年は米なす、オクラ、ロマネスコ、ズッキーニなどなど・・・。そうすると今度は別の問題が・・・。

トランスポーテーション問題

荷台の広さが自慢のスバル・フォレスターも、さすがに育苗したポット苗をポット苗トレーに入れた状態で、平積みで運べる数には限りがあります。

図1:  ポット苗トレー(W600mm x D400mm x H75mm)

図1: ポット苗トレー(W600mm x D400mm x H75mm)

後席の座席を倒しても、せいぜい4,5枚が限度。そうすると他の荷物が積めなくなってしまいます。今年は、どうしてもそれ以上の「ポット苗トレー」をクルマに積んで運搬することが必要になりました。

自車=フォレスターがだめなら別のクルマを買えば良い、というわけには行きません。何とかしてフォレスターで、横浜から群馬まで「ポット苗トレー」を運ぶこと以外の選択肢はありません。

ということで

相当数の「ポット苗トレー」を安全に運搬できる「仕掛け」、つまり「ポット苗トレー車載用ラック」が必要になりました。名前が長たらしいので、「苗トレーラック」と呼ぶことにします。わが家の「苗トレーラック」に必要な条件は次のとおりです:

  • 横浜と畑までの距離(およそ200キロ、急坂急カーブ多数)を荷崩れせずに運搬できること
  • 24ポット(9センチから10センチポット)用の苗トレーを4、5段積み上げられること
  • 本葉が数枚でた程度まで生育した、背丈が15センチの苗まで対応できること
  • ラックを使用しない時には(邪魔なので)分解できること

このようなラックが市販されているかどうか、ざっと調べましたが、ヒットするのはプロの業者の方が本格的に使うようなものばかり・・・。ボクのような素人が年に1,2回、100から200ポットの苗を運搬するようなものは見つかりません。

今回は、移動日までの余裕がわずか1日のみという日程の制約がありました。いつまでも調査をしているわけには行きません。なので、調査はそこそこで打ち切り、大急ぎで設計(おおげさw)から組み立てまで1日以内でやってしまう、という(無謀な)条件で作業をはじめました。

その結果、なんとかぎりぎりで出来上がったラックをフォレスターに固定し、苗を積み込んだのが次の写真です:

図2:  車載用ポット苗トレーラック

図2: 車載用ポット苗トレーラック

この状態で、高速道路と急坂急カーブの多い山道の合計200キロ、いつもよりは慎重に運転しましたが(w)、途中まったくビビリ音もなく、荷崩れもせず、じつに素晴らしい出来でした(自画自賛)。あまりに簡単にうまく行ったのでご紹介します。

仕掛けは簡単です

写真を細かく見て頂ければお分かりいただけると思いますが、仕掛けは単純です。要するに、単純な4本足のテーブル状のものを必要な段数だけ作ります。それを積み重ねるのですが、ラックが用済みになったら、簡単に解体できるように上下のテーブルを結束バンドで留めました。これがミソです。

図3:  結束バンドで上下のラックを留める

図3: 結束バンドで上下のラックを留める

結束バンドって粘りがあってそこそこの強度がありますよね。応用範囲が広い!

車体にラックを固定する

さて次の問題は車体にこのラックをどう固定するか、です。これも色々な方法があるでしょうが、今回はバックル付きの「荷締めテープ」を使うことにしました。次の写真は全体構造が見やすいように斜め上方から撮ったものです。赤丸で囲ったのがバックル付き「荷締め」テープになります。

図4:  斜め図

図4: 斜め図

テープはプロ用のものでなく、安価な民生品で十分です。このテープで、ラックを車体にしっかり固定します。

前提は・・・

クルマの荷室に荷物を固定するための荷締めテープやロープを結わえるフックが備わっていることが前提です。フォレスターには、たぶん主にラゲッジネットを固定するためでしょうが、左右に2個ずつ、絶妙な位置にフックが装着されています。ま、たいがいのSUVには標準的に装備されていると思いますが・・・

図5:  フォレスターの荷室のフック。使わない時は壁面に格納されます。

図5: フォレスターの荷室のフック。使わない時は壁面に格納されます。

このフックに荷締めテープを結わえつけてラックを固定します。

必要な部材

シンプルな構造なので、部材の説明は不要かと思いますが、自分用の備忘として・・・

1段あたりの必要部材

1段あたりの必要な部材は次のとおりです。今回は、3段にしましたので、使用した部材は×3となります。

木材

  • 55ミリ厚のベニヤ板 676mm x 476mmを1枚(これは天板です。サイズは運搬する苗トレーのサイズによって決めて下さい。)
  • 2×2の角材を150mm にカットしたものを4本(これは脚というか柱になります。1800mmの材木から12本取れるというのもおいしいw)

小物など

  • 木ネジ25mm程度を8本(天板と、脚というか柱をネジ止めするため)
  • 結束バンド200mm程度のものを4本(積み重ねた時に、上下のラックを固定するため。使用後にラックを分解する際には、結束バンドをニッパなどで切ってしまえばよい)
  • 小型のヒートンを4個(結束バンドを通して、上下のラックを固定するため)
  • 防振・防音用のインシュレータゴム(柱の、クルマの荷室の床に接する部分に貼り付けましたが、多分そこまでやることはないでしょう。自宅にたまたまあったので、ハサミで切って貼り付けただけです)

今後の課題

当面、必要な機能は充足されました。機能上の障害はゼロです。

あえて言えば、木部にペンキを塗った方が見た目も機能的にも良いと思います。あと、後席の座席を立てて(人を乗せて)走らなければならないこともあるでしょうから、サイズをもう少しコンパクトにした方が良かったかも知れません。なお、図2 からお分かりの通り、ベニヤ板の天板に厚めのダンボールを敷いていますが、これは防振・防音上にとてもよい効果をもたらしたようです。

Acknowledgement